「自分がわからない」「自分がない」という悩み
【あなたは、自分のことが「よくわからない」と悩んだことはあるでしょうか?】
「何を食べたいですか?」と聞かれて、すぐに食べたいものが思いつきますか?
遊びに行く際に「どこに行きたい?」と聞かれたら、行きたい場所が思いつきますか?
自分のことを始めとして、特に緊迫した状況や主体性が求められる場面では、
あらゆることを単に「わからない」と言って済ませている、あるいは済まされている
人も多いのではないでしょうか。
この「自分がわからない」「自分がない」という感覚は、これまで集団や「和」を重ん
じてきた日本人には、誰にでも起こりうる感覚なのです。
そして、現代の日本では、グローバル化やIT化が発展したことで、価値や規範、「らしさ」
の多様化が進み、社会や集団生活における明確な言動の基準、作法が曖昧になっています。
そんな中でも、相変わらず「空気を読む」ことを求められているでしょう。
しかし一方では「自己責任」という言葉に代表されるように、個としての責任ある、考え、
行動を求められる矛盾に満ちた現状があるとも言えます。
すると、周囲に合わせてばかりで、自分の意見や気持ちは「わからない」と言い続けること
は、自分の状況や気持ちを相手に伝えられず、「わかってもらえない」と1人悩んでしまう
かもしれないし、相手に呆れられて目を向けられなくなり人間関係が上手くいかなくなる
かもしれません。
では、「自分がわからない」「自分がない」という悩みには、どう対処したらよいのでしょう?
まずは、実は「今まで『自分』がなかった」ということに気づくことから、始めます。
先ほどの例で言えば、
[ 友人とご飯を食べに行った時をよくよく振り返ってみると、友人と同じものばかり頼んで
いたけど、「実は○○が食べたい」と思っていた。けど、言わないで、合わせていた。]
といったことを、思い出したり、気が付いたりするかもしれません。
この「実は○○が食べたい」という欲求・願望・意志が、本当はあったのに隠れてしまって
いました。
「自分がわからなかった」「自分がなかった」という気づきの体験をきっかけに、
実は「自分は○○したい」「自分は□□という人なんだ」と、今まで見えなかった「自分」を
知っていくことができるでしょう。
カウンセリングでは、具体的で現実的な、「形のある」問題だけを扱うわけではありません。
「何となく自分って何なんだろう」「結局自分は何をしたい(何をしたかった)んだろう」と、
漠然とした自分の「わからなさ」を話しあうこともできます。
カウンセラーは「あなたの自分らしさ」の答えを出すことはできませんが、
「あなたの自分らしさ」を一緒に探す、一緒に見つけ出すことをお手伝いすることはできます。
すぐに気づいたり、わかったりするわけではなく、長い道のりになるかもしれませんが、
「自分のわからなさ」「自分のなさ」について悩んでいる方は、
カウンセリングという1つの探索方法も、検討してみるのはいかがでしょうか。