考え方のクセ③「読心術」
もし相手の考えていることが手に取るようにわかる魔法があれば、そんな力が
欲しいと思われるでしょうか。
読心術というのはそういう魔法の事ではなく考え方のクセの1つで、
「こんなことを考えているんじゃないか」「自分のことをこんな風に思っているんじゃないか」と
相手の考えていることを、そんなふうに考えるべき証拠があるわけでもないのに
ごくささいな手掛かりから勝手に推測してしまうことを言います。
例えば、友達とカフェやレストランで談笑している時、ふとした拍子にその友達が
ちらりと時計を確認するような仕草をするとします。
「あ、なにか時間が気になるのかな」と思うのはまだ自然でしょう。
そこからさらに
「自分の今の話がつまらなくて自分といるのが退屈だから早く帰りたいと思っているんだ」と
考えてしまうとしたら、それは読心術を使って相手の頭の中の考えを勝手に決めつけて
しまっているのかもしれません。
まれにこういった考えが当たっていることもあるかもしれませんが、ほとんどの場合は
考え過ぎであったり的外れな考えに陥ってしまっていたりするものです。
その他の考え方のクセと同じく、読心術を使ってしまっているかどうかは自分では
なかなかわかりにくいものです。
また、中には「自分でもそんな風に考える証拠がないのは分かっている。これが考え過ぎだって
気が付いている。だけどどうしてもそんな風に考えてしまうのを止められない」と苦しんでおられる
方もいるかもしれません。
基本的に相手の考えていることは分かりません。気になるのであれば聞くしかないわけですが、
聞いても本当のことを教えてくれるわけではありません。
本当のことを教えてくれていたとしても「でも心の底では実際はこう思っているんじゃないか」と
さらに読心術で疑うことさえできてしまいます。
だとしたら相手の考えていることを把握しようとする試みは一旦手放すしかないのかもしれません。
その上でどのように考えることができれば自分の心の健康のためには良いのか、という視点でその状況を
捉えなおしてみることができると良いですね。
認知行動療法を通してこのような考え方のクセに取り組んでみることは、人生をより豊かに心穏やかに
過ごすための役に立つでしょう。