DoingモードとBeingモード
「どうして自分はいつも上手くいかないんだろう」
「どうして自分ばかりこんな目に遭うんだろう」
私たちは何か問題や困り事に直面した時、よくこんな風に考えます。
以前もご紹介しましたが、こういった考え方を「反すう」と呼びます。
私たちは何故反すうをしてしまうのでしょうか。そこには、人の心の中のモードが関わっていると
考えられています。
私たちのこころにはDoingモードとBeingモードという二つのモードがあると言われています。
Doing(すること)モードは、私たちが何か問題や困りごとに直面した時に、それを解決しようとして
自動的に作動するモードです。
Doingモードが作動すると、私たちがその時感じている理想と現実とのギャップに意識が向けられ、
その差を出来るだけ埋めようという気持ちを私たちに起こさせます。
現在の自分から離れた位置にある理想・目標・解決に向けて「なにかをしなければ!」という
気持ちになります。
このように見てみると、そんなに悪いことには感じられないかもしれません。ただ、もし問題が思ったように
解決しなかったり、何かをしたのだけれど上手くいかなかったりしたときはどうなるでしょうか。
その時に自然に出てくるのが「どうして上手くいかないんだろう」という思考です。
上手くいかなくてもDoingモードは問題が解決しない限り自動的に働いて、解決のために私たちに問題を
分析させようとします。その中で自分自身の過去の経験を検索させ、これまでの上手くいかなかったことが
思い出されます。
すると今度は「どうして自分はいつも上手くいかないんだ」「どうして自分ばかりこんな目に遭うんだ」という
反すうに陥ってしまうのです。
こうなると結局は問題解決にたどり着かず、狭い視野で同じところをぐるぐる回るような思考に囚われてしまいます。
そこで大切になるのが「Being(あること)モード」です。
BeingモードはDoingモードのように、目標や問題解決に向かおうとするのではなく、それとは反対に
今、ここに自分自身が”ある”・存在するといったこころのモードです。
自分の今の状態にフラットに目を向け、気が付いていることを指し、自動的なDoingモードとは異なり、
意図的に反応しているモードとも言われます。
具体的には、Doingモードのように「ああしなければだめだ」「こうした方が良いに決まってる」と
現在の自分の状態に評価を加えずに、ただありのまま今の状態を「今の自分はこういう状態なんだ」と気が付き
受け容れることなどを指します。
Doingモードは目標を達成するために必要ではあるのですが、上手くいかない時や自分の気持ちが乱れているときに
Doingモードのまま突き進み過ぎると、自分の感情が無視されてしまい気が付いた時には疲労困憊で落ち込んで
しまっているということになりかねません。
一方でBeingモードは自分の感情に気付きながらそれに巻き込まれずに距離を取って俯瞰的に観察するので
視野が自然に広がり、自分の感情や頭を上手に切り替えることが出来ます。
これらは昨今すっかり有名になった「マインドフルネス」のベースになる考え方です。
現代人である私たちの日常は、常に何かをしていなければいけない「Doingモード」の世界にあると言えます。
その世界で疲れ果ててしまわないために、Beingモードを忘れないように過ごしましょう。