大学生にとっての就活と親との関わり
大学生にとって、今や大学で何を研究するかというよりも主要な課題、関心事と
なっているのが就職活動です。
コロナ禍によって就活自体も様変わりしてしまいましたが、それ以前の売り手市場と
呼ばれる世の中であっても、「就活」という響きは多くの大学生に対して悩みと
不安を与えるものであったように思います。
保護者の就職活動への関心度と、学生の満足度との関連性を示した研究があります。
(田澤・梅崎2016)
この研究では,大学生4841名を対象とした質問紙調査を行いました。
その結果として、保護者が就職活動に関心を持ちなおかつ学生が親のかかわりに
満足をしていることと、学生が就職活動に対して明確なビジョンを持ち、積極的に
アクションしていることに関連性があることが示されました。
また、どのようなかかわりに学生は満足を感じるのかについては、「話をする」
「相談する」「話を聞く」などのことを学生から主体的に親に働きかけている場合に
学生はより保護者のかかわりに満足をしており、反対に保護者の方から「聞かれる」と
いうように、保護者が主体的に関わり学生が受動的になっていると満足度との関連が
見られなくなったということです。
「就活はどうなんだ?ちゃんとやっているのか?もっとこうした方が良いんじゃないのか?」と
あれこれ問いただすよりも「何か困っていることがあるならいつでも聞くよ。」といった関心を
示しながらも子どもからのアクションを待つような関わりの方が、結局は就職活動の積極性にも
関連してくるのではないか、という可能性を示す結果と言えるでしょう。
これはもちろん一つの研究の結果であり、それがどのくらいのケースに当てはまるのかはわかりません。
就職活動への取り組みというのは、様々な要因が関わってくる複雑な事柄で学生を
取り巻く環境も多様です。
その中で親の関わりがどの程度影響力を持っているのかは、それこそ分かりません。
どんな関わりが良いかはどんな子どもかに寄るだろうというのも、その通りでしょう。
ただ、就活に臨む子どもに、どのように接して良いか分からないと感じておられる方が
おられたとしたら一つの参考になりうるのかもしれません。
引用文献
田澤実・梅崎修 (2016) 保護者のかかわりと大学生のキャリア意識
-保護者の就職活動への関心度と学生の満足度に注目して–キャリア教育研究 35 21-27