考え方のクセ⑤「予言の自己成就」
毎回心配した通りの失敗をしてしまうから、人前で話す事や、一人で何かすることや、
誰かと何かすることが本当に苦手だ。
例えば電話が苦手な人がいたとします。
なぜ電話が苦手かと言うと、周りに仕事のできるしっかりした同期や尊敬する上司がいる中で
彼らにがっかりされないように、間違わずにハキハキと受け答えをしなければいけない
(と信じている)からです。
いざ電話をはじめると「もし声が震えたらどうしよう」
「もし話している途中で噛んでしまったらどうしよう」と不安が頭を駆け巡り
普段おしゃべりをしているときには全く意識しないような、話すテンポ、スムーズさ、
言葉の選び方に妙に意識が向いてしまいます。するとどんどん緊張してきてしまって
本当に声が震えてきてしまいました。
「ああ、やっぱり心配した通りになった」「やっぱり自分は電話が向いてないんだ。
なんならこの仕事に向いていないんだ」と、その日は一日散々な気持ちで過ごすのでした。
不安な時には「もし不安に思っていることが実現してしまったら」という最悪な想定を
してしまうものです。しかしそれがただの頭の中のイメージに留まらずに、自分の感情、
行動、身体の動きに作用して平常心が奪われ、普段のパフォーマンスが出せなくなって
しまうことがあります。
結果的に、そこまで考えすぎなければ普段通りにできたものを失敗へと導いてしまうのです。
このように自分が恐れていた結末をそれにこだわるあまり意図せず自分で実現してしまうことを
「自己成就的予言」と言います。
このクセに捉われたまま失敗してしまうと「やっぱり思った通り自分はこれが苦手なんだ」と
自己成就的予言を自分で補強してしまう悪循環へと陥ってしまいます。
意味合いに少し違いがありますが、人間関係においても似たようなことが起こります。
相手に見捨てられたり嫌われたりすることを恐れてその関係に固執するほどに
かえってお互いにうんざりして相手から嫌がられてしまうということがあり、
これは「悲しき予言の自己成就」と呼ばれています。
いずれにせよ自分の強すぎる考えが、自分をかえって望まない方向に自分の恐れている方向に
向かわせてしまっているのではないか?
このように振り返ってみることが不安と失敗の悪循環から抜け出すきっかけになることが
あるかもしれません。