今、この瞬間に意識を向ける マインドフルネスとは?
私たちは普段自分の価値観や経験に基づき周りで起きている出来事に自動的に反応していたり、
無意識に過去や未来のことを考えて記憶や感情に巻き込まれたりと多くのパワーを消費しています。
そのため、時には心身ともに疲れてきってしまうこともあるのではないでしょうか。
マインドフルネスとは、「今・この瞬間の自分の状態、していること、感じていることに意図的に
注意を向けて気づき、受け止め、味わい、手放すこと」です。
今リアルタイムで自分の中に起きていることに対して、もう一人の自分を置き一歩引いて興味を
持って観察してみます。さらに、観察されたものがポジティブなものでもネガティブなものでも
良い・悪いと評価を一切せず、「あー今自分こんな感じなんだー」とあるがままに受け止め受け入れます。
マインドフルネスを実践することで負の感情や思考に巻き込まれた状態を修正する手助けとなるため、
自己コントロールやストレスの軽減にもつながります。
ここで、一つマインドフルネスを体験するためのワークをご紹介します。
普段何気行っている呼吸に注目するワークです。
①椅子に腰かける、仰向けに寝るなど力の入らない楽な姿勢になります。
②鼻(もしくは口)から息を吸う・吐く を何分か繰り返し、胸やおなかが膨らんだり縮んだりする様子や体内に出入りする呼吸の流れを観察します。
③途中で雑念が沸いてきたら、取り払ったり巻き込まれたりするのではなく、「今、気がそれたな」と雑念が沸いたことを受け止めてまた呼吸に意識を向けなおします。
どうでしょうか?簡単そうに見えて意外と最初は難しいかもしれません。
中には無意識している呼吸に意識を向けることで、息がしにくくなった方もいるかもしれません。
マインドフルネスはすぐにできるものではなく体験や練習の積み重ねが大切と言われています。
カウンセリングでカウンセラーと一緒に取り組むこともおすすめです。
まずはこの記事を読んで、生活の中でふと思い出したときにぜひ実践してみてください。
参考図書
・伊藤絵美 『セルフケアの道具箱 ストレスと上手につきあう100のワーク』 晶文社
・伊藤絵美 『自分でできるスキーマ療法ワークブック Book1』星和書店
フラワーアレンジメント⑨
関東地方も梅雨に入り、紫陽花(あじさい)の季節になりました。
大船オフィスのある鎌倉市には、明月院をはじめとした紫陽花の名所が
数多くあり、例年この時期は多くの観光客でにぎわいますが、コロナ禍の今年は
週末は終日閉門となっているようです。
遠くに足を運ばなくても、通勤や通学途中に咲いている色々な種類の
紫陽花を観るのもいいかもしれませんね。
【花言葉】
あじさい(紫陽花)・・・仲良し、和気あいあい
実はあじさいの花言葉は、色が変化することから付けられたものが多く、
あまり良い言葉が並んでいません。
しかし、日本では花が寄り添って咲いている様子から上記の花言葉を使うそうです。
アレンジメントは「フィオリスタぴあに」さんが届けてくれています。
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自尊感情は高ければ良いわけじゃない?-自尊感情の随伴性-
自尊感情、自信、私たちはいつもこういったものが自分には不足していると感じていて
どうしたらこれらを高めることができるのだろうかと日々苦悩しています。
そのため、カウンセリングのテーマとなることも非常に多いです。
しかし心理学の研究では、自尊感情が高い場合でも、それが適応にとって良い場合と
悪い場合があると言われています。
自尊感情が高くても適応に問題が出るのはどんな場合かと言った時に、自尊感情の随伴性という
考え方が出てきます。
他者の評価などの外的なものに依存して高くなる自尊感情のことを「随伴性自尊感情」と言い、
これは不安定なものなので、高くてもあまり健康的なものではないとされています。
とはいえ、自尊感情はそもそもどんな場合であっても少なからず何らかの基準が必ず随伴している
ものだとも言われていて、その中でも外見や評価といった外的なものが随伴している自尊感情は、
たとえ持っていたとしても気分としては落ち込んだりしやすいと言います。
一方で神の愛などが随伴している場合には抑うつ傾向との関連は見られませんでした。
キリスト教圏で行われた研究の結果なので「神の愛」というのは我々日本人の多くからすれば
馴染みにくいと思いますが、キリスト教では人はみな神の子であり、みな神に愛されているとされます。
これを前提とした考えは確かに、他人との比較や他者評価といった外的で不安定なものとは異なるのだろうと思います。
私たちが「自信が欲しい」「自尊感情を高めたい」と思う時、他者からの評価を前提とした外的なものが随伴した
自尊感情を求めている場合があるかもしれません。随伴性自尊感情の方が、表面的にはキラキラしていて
周囲も注目も、そして自分の注目をも集めるのでしょう。「自信がない」というのも「他者から認められていない」
「他者からの評価を失うのが恐い」という意味とイコールになっている場合もあるのではないでしょうか。
より健康的とされる自尊感情は外的な評価とは関係なく自分を「よし」とするところにあって、
自分らしくあることで自然に出てくるものとされています。
そう言われても難しい気がすると思いますが、カウンセリングを通して取り組んでいくことも可能です。
随伴性自尊感情を求める気持ちから離れることが、かえって、結果的により健康的な自尊感情に近づくための
方法となりえるかもしれません。
参考文献:
伊藤正哉 & 小玉正博 (2005)
自分らしくある感覚 (本来感) と自尊感情が well-being に及ぼす影響の検討. 教育心理学研究, 53(1), 74-85.
伊藤正哉, 川崎直樹, & 小玉正博 (2011)
自尊感情の 3 様態── 自尊源の随伴性と充足感からの整理──. 心理学研究, 81(6), 560-568.
「うつ病の集団認知行動療法」参加者募集中
「コンパッションを取り入れたうつの集団認知行動療法」
2021年10月16日(土)開始 全13回 毎週土曜日 11:15~12:45
プログラムの詳細はこちらをご覧ください
※こちらは、うつ病の方を対象とした以下のインタヴュー研究の一環としてのプログラムとなっております。
そのため、以下のインタヴュー研究にご参加いただける方を対象としております。資料をよくお読みの上、お申込みください。(資料はこちら)
※この研究は、千葉大学医学部倫理審査(受付番号3938)によって実施を許可されました。
※この研究はJSPS科研費 JP19K14412の助成を受けたものです。
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新型コロナ感染症と心の悩み、夫婦関係、親子関係について
昨今は新型コロナ感染症に伴い、長時間自宅で過ごされる方が多くなっていると思われます。
出かけようにも遠くへ行くのは不安だし、感染の危険もあることから、外出を控えたり、
テレワーク等で出勤しなくなって、どうしても自宅でいる時間が長くなります。
そうなったとき、今までは適当に外で発散していたフラストレーションが溜まってしまい、
結果的に家の中に表出されてしまうことがあります。そうなると、家の中の空気が
ギスギスしてしまい、さらにストレスが溜まってしまうといったことになるかもしれません。
しかし、長時間家にいることはマイナスな影響しかないのでしょうか?
実は今まであまり家でゆっくりと一人の時間を過ごせていなかったり、夫婦や親子で顔を
合わせる時間が少なかったといった方々は結構いらっしゃると思います。
特に夫婦関係や親子関係の場合、今まで見えていなかったことが見えて、新しい発見となり、
そこからお互いの理解がさらに深まって関係性が深まるといったことを時々耳にします。
ただ、今まで外で適当に発散できたことで、あまり見ないようにしていたお互いへの不満や、
家族や夫婦の中で抱えている問題といったことが表に出てくることもあります。
そうすると、相手への不満や怒りが強くなったり、不安が強くなったりしてしまい、
強いストレスを感じるようになってしまうこともあるかもしれません。
しかしこういった状況は、自分たちが抱えている問題を自覚し、その問題に向き合うことが
できるチャンスでもあると思います。
現状への不満や不安は、現状を何とかしたい、変えたいというモチベーションに繋がりやすく、
そういったモチベーションをうまく使うことで、今まで未解決でいた問題が解決したり、
解決しないまでも取り組んだりできるようになることもあります。
そういう家族関係や夫婦関係、親子関係の問題に取り組むためには、
まずはお互いがじっくりと話し合い、お互いへの理解を深めることが必要です。
しかし、話がかみ合わなかったり、ケンカになってしまったりとなかなかじっくりと
話し合うことが難しい場合があります。そういった悩みを持った方々が、
よくカウンセリングに来られることがあります。
カウンセリングでは問題や悩みへの理解を深めるサポートをしています。
カウンセリングは問題の解決を保証するものではありませんが、理解が進むことで問題が整理され、
今後どのようにしていけばよいかについてのお手伝いをしていければと思っております。
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