シニア世代の心の悩みとカウンセリングについて
私たちは、日々幅広い年代の方々を対象にカウンセリングをさせていただいていますが、
今回はシニア世代の方々のカウンセリングについてお話させていただけたらと思います。
本来カウンセリングは、自分のことについて専門家である心理カウンセラーと話をしていく中で、
自分の性格や、現在直面している状況についての理解を深めていき、自分なりの悩みの解決策を
探していくサポートをする役割があります。
勿論、それはシニア世代の方々でも同じであり、大きく変わるものではありません。
しかし、人間は年齢を重ねていくにつれて、変わりにくくなっていきます。それは当然で、
性格(人格)とは、その人がよくとる行動パターンや思考パターン、そして感情のパターンの
集合体が性格と呼ばれるものであり、年齢を重ねるについてこうしたパターンは強化され、
固定化されていき、変化し辛くなる傾向があります。
もちろんいくつになっても柔軟な対応ができる方もおられますが。
性格の変化や修正に多大な労力と時間が必要であることに加え、年齢を重ね、自分のパターンを
確立されてきた方々が変化や修正をするためには、より多くのエネルギーが必要になってくるため、
大きなパターンの変化を望むのは難しくなります。
しかし、ではシニア世代のカウンセリングは意味のないことかと言えば、決してそうではなく、
大きなパターンの変化というより、今までの自分の人生を振り返り、それがどのような人生だったか、
そこにどんな意味があったかについて理解をしていくというカウンセリングの側面への比重が大きくなってきます。
勿論、シニアではない世代のカウンセリングでもこれは重要なテーマなのですが、シニア世代では特に重要で、
昔を思い出し、懐かしい思い出を誰かと語ることで自分の人生を振り返り、より生活を活性化することが
できるようになる等の効果がある回想法はとても有効です。
今までの人生を振り返ることで、自分がどのような人生を歩んできたかについての理解を深め、
その意味について誰かに語りながら一緒に考えることは、非常に意味深いです。
大変で、辛い思いばかりして苦労してきた方々には、そんな辛いことや苦しいことは思い出したくない、
話したくないといった方々もおられますし、カウンセリングに来られる、悩んでいるシニア世代の方々には
そういった方が特に多いと思われます。
しかし、それはその方が苦しみや辛さを生き抜いてきた波乱万丈の人生記録であり、
一生懸命に生き抜いてきた証明でもあると思います。
人は自分の人生の物語、文脈の中で生きており、こういった言い方は失礼なのかもしれませんが、
物語とは山あり谷ありといった波乱万丈の物語の方が魅力的であり、興味を感じるものだと思われます。
自分の人生への魅力や意味を、心理カウンセラーに語りながら一緒に再発見していくことが
シニア世代のカウンセリングでは重要なテーマになってくることが多いです。
人間は生涯成長するといった立場では、シニア世代の発達課題として人生の統合ということが挙げられています。
これは今までの自分の人生を振り返り、自分はどのような人生を歩んできて、それは自分にとって
どのような意味があったかについて自分なりに総括していくということですが、
そういった人生の最後の課題を行うために、カウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。
自分の長い人生をじっくり振り返るということは、それだけでもとても意義のあることだということは、
日々のカウンセリングで私が実感していることです。