“怒り”が教えてくれる大切なこと
“怒り”と聞いて、何かいいイメージは思い浮かびますか?
年を重ねるほど、すぐ怒るのはよくないことで、子どもっぽい、格好悪い、もしくは怒りは悪いものと
思っている人は少なくありません。
私たちは、自分の大切なものや考え方が傷つけられたり、奪われたという感覚が大きければ大きいほど、
怒りを感じることがあります。
怒りは出し方によって問題になることがありますが、怒りの感情そのものは自分の大切な一部です。
そして、境界線が脅かされたことに警報を鳴らす機能でもあります。
自分という領域は、こうされたら嬉しい、嫌だといったYes、Noをひとつずつ積み重ね、
徐々に自分と他人を区別する境界線を引きながら、形作られているものでもあります。
もし、誰かが自分の引いた境界線を無断で踏み越えて大切なものを奪っていこうとしたら、
「No」と言って自分を守ることを怒りは教えてくれます。
その怒りを感じないようにしてしまったら、いつも自分の境界線を言葉や行動で他人に侵され、
自分の境界線がどこなのか、何を望んでいるのかを見失ってしまうことがあります。
逆に、怒りが多いとしたら、境界線が曖昧だからかもしれません。
少し長いですが、境界線チェックリストを載せてみました。
<感情の境界>
・相手の感情に引きずられていませんか?
・相手の感情を自分の思うように変えようとしていませんか?
・相手の感情に無理に合わせていませんか?
<身体の境界>
・疲れ切ってしまうほど仕事をしていませんか?
・疲れたら休んでいますか?
・自分の安心できる場所や、休める場所がありますか?
・自分の身体のSOSに耳を傾けていますか?
<責任の境界>
・他人の負うべき責任や仕事まで、引き受けていませんか?
・何もかも自分でやらなくてはいけないと思っていませんか?
・仕事を分担していますか?
<時間の境界>
・時間をどう使うかを、自分で決めていますか?
・自分だけの時間を持っていますか?
・プライベートな時間を楽しんでいますか?
守るのが難しい境界は、ありましたか?このチェックリストは、いくつ当てはまるかというよりも、
気づかないうちに無理をしていないか、自分を追い込んでいないかを考えるきっかけにしてもらえたらと思います。
境界線が脅かされると、知らないうちに相手の問題に巻き込まれたり、自分の問題(意識的・無意識的に)を
みたくないがために、相手の問題にのめり込むことにもなりかねません。
自分を大切にするヒントになれば幸いです。
参考・引用文献
感情の「みかた」~つらい感情も、あなたの「味方」になります~ 堀越 勝著
臨床心理学133 第23巻 第Ⅰ号 怒りとは何か?-攻撃性と向き合う