SNSと心理的なストレス
Twitter、LINE、 Facebook、 Instagram、いずれもSNSと呼ばれるサービスですが、
これらのいずれもを一度も見たことも使ったことも無いという人はおそらくもういないのではないでしょうか。
それくらい現代社会においてSNSは人々の生活に不可欠なものとなっています。
心理学の世界においても、現代社会に暮らす人々の心理について考える時、SNSの影響はもはや触れざるを得ない
ものと言えるでしょう。
特にSNSにあまり馴染みがない世代からすればSNSでのコミュニケーションはまだしも、そこで友達ができると
いった関係性の発展には疑問を感じる面もあるでしょう。
「SNSでしかやりとりをしていないけれど非常に仲の良い親友がいる」と言われても、それがどのようなものなのか
理解しきれないかもしれません。しかし、現在ではこのようなSNS上の関係性はごく自然なものとなっています。
藤野(2017)は20歳前後の若者を対象に、SNSが「居場所」になり得るのかについての研究をしていますが、
SNSでの関係性は現実に知り合っている友人との関係性と同等の「居場所感」を有することが明らかとなっています。
ただし、現実の「居場所感」の方は、それが強いほどメンタルヘルスを示す心理的Well-beingが高くなる一方で
SNSの「居場所感」はそのような関係性が見られませんでした。
また、都筑ら(2018)はLINE、Twitterに関しては知人からの受信の頻度が多くなるほど使用時の不満度が増大する
ことを示しています。Instagramでは利用頻度が多いほど不満度が上がるようです。
もちろんSNSには積極的に利用することで人生満足度を向上させる効果があるなど良い側面を示した研究もたくさん
あり、非常に有用なコミュニケーションツールであることは間違いありませんが、使用する頻度や時間が増大
していく中で次第に自発性や主体性が失われると、いわゆるSNS疲れに繋がるのではないでしょうか。
現実の人間関係と同様に適度な距離感が必要なのかもしれません。
しかしSNSは現実と同じくらいに「居場所感」が得られるからこそ、それがストレスに感じた時「見なければ良い」
「SNSを止めればいい」などと簡単に切り離したり距離を取ったりできないものであるとも言えるでしょう。
SNS上の対人関係のストレスにおいても現実の人間関係上のストレスと同様に、個人的な問題だからと抱え込まずに
他の誰かに相談する、話を聞いてもらうことを考えてみるのも良いのではないでしょうか。
引用文献;
藤野千種 (2017) SNS を介したインターネット上での心理的居場所と well-being の関連
神戸大学発達・臨床心理学研究, 16, 14-18.
都筑学,宮崎伸一, 村井剛, 早川みどり, 永井暁行, & 飯村周平. (2018).
大学生における SNS 利用時における心理的ストレスの研究―LINE, Twitter, Instagram の比較を通じて―.
中央大学保健体育研究所紀要, 36, 33-59.