考え方のクセ①「べき思考」
認知行動療法は、問題やストレスを増大させている認知(=考え方)の癖、行動の仕方の癖をみつけて
それをよりストレスや問題の少ないものへと変化させていく方法です。
認知行動療法についてご存じの方は「認知の歪み」という言葉をご存じかもしれませんが、
これは「問題になることが多い考え方の癖」ということです。
その中の1つが「べき思考」です。
「ああすべきだ」「こうするべきだ」「こうするべきではない(してはいけない)」と、「べき」と言う
言葉を使って自分の行動や相手の行動を批判したり、縛ったりする考え方です。
例えば「人に良くしてもらったら、自分もそのようにして返すべきだ」という考えはとても
素晴らしい考えです。
みんながそのように考えて生きていくことができれば、世の中はもっともっと良くなっていくことでしょう。
しかし、もしこの考えが「べき思考」になって自分の中の絶対に守らなければいけないルールと
なっていたらどうでしょうか。
常にこの考えの通りに生きていければ何も問題はありませんが、場合によってはそうできない時もあるでしょう。
相手に良くしてもらっているのに、自分からは何もお返しが出来ないように感じることも出てくるかもしれません。
そのような時に、このべき思考を信じて生きてきた人は、「自分はとても駄目な人間で、すべきことができていない
どうしようもないやつだ」と思って落ち込んでしまうかもしれません。
世の中は本当にいろいろなことが起こるので、一つの考えや信念を、常に守って生きていくのは不可能なものです。
それでもその考えを全うしようとするとしたら、それは「極端な考え方のクセ」になっていると言えるかもしれません。
けれど自分の中ではごく当たり前、当然の考えなので、それがやや「極端」で「考え方のクセ」になっている
ことにはなかなか気が付きません。
もし、自分自身の生き方を振り返ったときに、自分の中に「~すべき」「~すべきでない(してはいけない)」という
考えに気づいたら、その考えが自分にとってどの程度強い(強固な)ものか。また、その考えを大事に持つことが、
自分の人生にとってプラスになっているか、マイナスになっているか、考えて見ると良いでしょう。
もちろん、マイナスになっているからと言って、その考えが間違っている、その考えを捨てろというのではありません。
その考えを、少しだけマイルドにできないか考えて見ましょう。
※「べき思考」へのアプローチの1つとして・・ 「認知再構成法」について